浴衣と夏着物の違い
・仕立ての視点から
夏着物と浴衣は仕立てが違います。まず、衿はバチ衿といって浴衣は太さが同じで少し狭めの、縫込みになってます夏着物は襟が広衿で、着物と同じように折って太さの調整が出来ます。衿の布がバチ衿より一枚多いが故に、本当に暑い日は衿から暑いので、汗だくになります。浴衣は長襦袢を着ませんので、意識当てといってお尻部分に一枚生地を縫い付けます。これをすると頑丈になるので、単衣の着物にもしてあることもありますが、襦袢を着る前提の夏着物は意識当てよりは背伏せといって、背中心の部分にバイアステープのようなのような記事で二つの布の縫い合わせを囲んでいます。こうする事で生地が上丈夫になります。
・浴衣普及の視点から
浴衣の始まりは平安時代です。 『湯帷子(ゆかたびら)』であるとされています。 帷子(かたびら)とは夏に着る麻の着物のことで湯帷子とは貴族が蒸し風呂に入る時に着たのが麻の着物です。江戸時代に銭湯の普及により湯浴びの後に直接肌に触れる着方で普及したバスローブ的な存在でした。絽や紗といった高級素材の場合は透け感があり上品な風合いが出ますが、故に長襦袢は必須です。透けて見えてしまいますから。素材は浴衣では綿や綿麻、麻が一般的です。麻は今以上に普及していて夏の暑さを耐え凌ぐには良かった素材です。農作業をする場合は浴衣で作業をすることも多く、ちょっと前に言われていたルールで「人前には浴衣で出るのは恥ずかしい」といった感覚は希薄だったようです
・着る側の視点から
近年夏が熱くなってきてます。30度を超えないと「涼しい」と思うほど気温が高いです。こうなると浴衣はとても便利・とにかく長襦袢を着なくても済むのですから。でも長襦袢を着ないが故に少し前までは「日中の浴衣はけしからん」「ホテルでの浴衣は禁止」という時代もありました。今でも時々このようなニュアンスをいう方に出会いますが、私はその言葉をいう人は「夏に着物着ない人、もしくは少し前までは着ていたけど、最近の夏に着ものを着ていないな」と思います。だって、34度の気温で肌襦袢、長襦袢、着物の重ね着など麻の素材であっても、暑いですから。気を失うぐらいです。身にまとう衣装である限り、温度気候との関係は重要です。すから、真夏は浴衣を日中から着て出歩いてもOkと思います。(もちろんTPOを踏まえてですが。30度前後なら、10月であろうと、浴衣を着る人もいるかと思います。着る側の視点は伝統的ルールより重要です。また浴衣に今は襟だけを入れて着る下着なども流行してます。楽に着れる方法を探ると浴衣は簡単です。
・帯結びの視点から
浴衣だからどっちと言ったルールはないかと思います。敢えて言うなら浴衣は半巾帯が多いかな夏着物は名古屋仕立ての太鼓結びが多いかなという事ぐらいです。枕を入れて結ぶ太鼓仕立てはこれまた暑い。枕をヘチマで使い通気性を高めて暑さを減らす努力も30度を超えると無力です。やはり枕を使わない半巾の締めがまだ良いですね。最近は3重紐を使った変わり結びも簡単に出来て、私は半巾帯の苦手意識が減りました。貝の口など半巾結びは収まりが難しくて、どうも苦手だったのですが、¥3重紐は便利です。是非、調べてみて下さい。
浴衣の柄と色
浴衣の染め方は大きく、注染/捺染/型染め/絞り染め/などです。多いのは注染/捺染です。最近はプリンターでの印刷も増えてます。もちろん手がかかる柄付けは、高いですし、機械で柄付けした場合などはお安く提供できるのです。浴衣は綿が主流ですが中にな、綿麻/化学繊維ですが、化学繊維は熱がこもり、汗を吸わない、吸いずらいので、私は綿100%の浴衣が好きです。生地と染め方によって特異な柄と不得意な柄があります。注染は土手を糊でつくって柄を分類し、上から染料を注いで下から染料を吸引して、同柄の浴衣を何枚も染める方法です。ですので、あまり細かい柄には向いてません。なので浴衣は大柄の葉や花をデザインしたものがおおく、暑い夏に見た目でも涼しくなるような模様が多いです。型染めは型紙を使って染める方法なので、細かい柄も、大柄も、両方とのもに染めます。がネックは人の手が入るので高価になりがちです。絞り染めも同様です。ゴムや紐、糸を使い布を絞って染まらない部分を作ることで柄を染めつけていく方法は手間がかかります。故に総絞りの浴衣は高価です。余談ですが総絞りに見える型染に「疋田柄」があります。一見すると絞りに見えるで、見栄えが良く、型染めなので絞りほど手間がかからないので、絞りよりは安価に出来るメリットがあります。捺染とは裏まで染まらない、染め方です。印刷に近く、糊に色を混ぜてつくる「色糊」を使ってそめるのですが、捺染は柄を色糊で染めるのに対して、江戸小紋は基本は防染といって柄を白抜きにするので、捺染には含まれないです。
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浴衣の着付け
着物と違って浴衣は簡易な着付けが多いです。下着(肌襦袢)もつけないで着るものであったことからあまり緊張しなくても
着てどんどん遊びに行くと良いと思います。(コロナ禍で花火大会もなにもかも中止であった昨年は本当に残念でした。)
浴衣の着方を順を追って説明します。
①、肌襦袢を着ます(衿の開いたTシャツでもいいですし、下着でもOKですが、着ないと透けるのと腕部分から隙間が出来て
肌が見えてしまいます)
② 裾除けを巻きます。ない場合はステテコのようなものを履くのでも可能です。ないと股ずれしますし、太ももの汗を吸って
もらえないので、暑いです
③ 浴衣本体を肩にかけます
④ 浴衣の右側の襟を右手、左の襟に端を左手に持って布が床につかないように、足のくるぶしの部分ぐらいまで上げます。
⑤ あげたまま、右手を左に撒いて 左わきで押さえる、左の襟をもって右の脇で押さえる
⑥ 素早く体の胴体部分を紐で二重にして縛る。こぶ結びだと食い込んでいたいので、紐を交差して紐にねじりコム方法が良いです。
⑦ おはしょりをつくります。余った布で紐を隠すように覆います
⑧ 前の部分を体の中から手を入れてきれいに整えます。
⑨ 後ろのおはしょりも整えます
⑩ 衿を整えます。衿はなるべく衣文を抜く(後ろ襟を広く開ける)方が涼しいですし、女性っぽいです。
⑪ 伊達締めで締めますが、(コーリンベルトを使う場合は別で参照下さい)
⑪ 衿を整えます。
⑫ 浴衣を着るのは終了です。
浴衣の帯結び。
帯の種類があります。半巾帯、兵児帯、名古屋帯などです。半巾帯がメジャーですので、そちらの説明をしますが、文章にすると本当に難しいので、ここでは動画をお勧めします。
帯板を入れてきれいにする方法もあるのですが、帯板も夏は暑いです。ですので、帯板を入れないでも大丈夫です。
が前に部分がぐしゃとならないように、着ているときに気を付けましょう
① 帯を前で結ぶ方法です。結んだ後にぐるりを後ろに回します
② 前で蝶々結びをします。(細く絞った方が結びやすいです)
③ 右回しにして後ろに結びを回します